あらすじ
エスカレーターの下には、人が入れない場所がある。
駅のエスカレーターで異音が確認され、保守作業員の三浦が内部を点検することになった。
電源を落とし、ステップを外して露出した機械の内部。
そこから見つかったのは、異物だった。
りんごの皮。
魚の骨。
潰れた米粒。
小さな透明のビニール片。
そして、毛布
まるで、誰かがそこで生活をしていたようなものばかりだった。
そこは人間が入り込める構造ではない。
警察が調べても、侵入した人物は見つからない。
監視カメラにも、不審な人物は映っていない。
それでも、機械の内部には確かに「人がいた」としか思えない痕跡が残されていた。
人が乗るための機械。
人を運ぶための機械。
その下で、巨大な機械は何事もなかったように回り続けている。
しかし、人が入れない場所に、人がいた痕跡だけが残っていた。