あらすじ
強くなりたい。
ただ、それだけだった。
十五歳の少年、ユート・アルヴェインには特別な才能がない。
剣を振っても、すぐに強くなるわけではない。
走っても、能力が劇的に上がるわけではない。
魔法だって、まだまともに使えない。
それでもユートには、自分の努力を数値として確認できる「ステータス」があった。
昨日より筋力が0.01高い。
昨日より少しだけ長く走れた。
昨日できなかったことが、今日はできた。
その小さな変化だけを支えに、ユートは毎日鍛錬を続けていく。
目指すのは、冒険者。
その理由は、幼い頃に冒険へ出たまま帰ってこなかった父・アルベルトにある。
父が残した一冊の本――『大陸東方探訪記』。
その最後のページには、たった一言だけ記されていた。
『もし、この先を読む者がいるなら――東の果てへ行け』
父は東の果てで何を見たのか。
なぜ帰ってこなかったのか。
その答えを知るため、ユートは一人で冒険者として歩き始める。
薬草を採り、魔物と戦い、何度も敗れ、何度も立ち上がる。
才能のある者たちに追い越されても。
努力しても数字が伸びない日があっても。
自分の弱さを思い知らされても。
それでも、今日の自分より少しだけ強くなるために。
――努力は、決して無駄にはならない。
そう信じて進み続けた少年のステータスに、ある日、見覚えのない文字が浮かび上がる。
【努力行動を検知しました】
それは、世界に隠された「ステータス」の本当の意味へと繋がる、小さな始まりだった。
これは、何の才能も持たなかった少年が、一日一日を積み重ね、やがて世界の秘密へと辿り着く物語。
昨日より、少しだけ強く。
その一歩から、すべてが始まる。