あらすじ
十年前、姉エレノアを馬車事故で亡くしたリディアは、姉の元婚約者だったレイン公爵アルベルトと結婚する。
ところが結婚式の翌朝、王立身分登録院から一通の書類が届く。
それは――十年前に死んだはずの姉が提出した、アルベルトとの「離婚届」だった。
しかも提出日は、リディアたちが結婚したその日。
登録院の書記官でもあるリディアが調査を始めると、姉の死亡届の原本が存在せず、死亡診断書、埋葬記録、教会記録の日付まで食い違っていることが判明する。
さらに、事故で死んだのは姉ではなく同行していた侍女であり、エレノアは事故後も生きていたことが分かる。
ではなぜ姉は自らを死者にしたのか。
そしてなぜ十年後、妹の結婚と同時に離婚届が発効するよう仕組んだのか。
調査の先でリディアが知ったのは、姉の死後、自分が「姉の代わり」としてアルベルトに嫁がされることまで決められていたという事実だった。
姉が未来に残した離婚届は、復讐でも呪いでもない。
妹の人生を一度白紙に戻し、最後の選択だけは本人にさせるためのものだった。
「あなたは、誰の代わりにもならなくていい」
姉が十年越しに残した言葉を受け取ったリディアは、いったんアルベルトとの結婚を終わらせる。
そして今度こそ、家のためでも、姉の代わりでもなく――自分自身の意志で、愛する人を選ぶ。