あらすじ
四月の札幌。雪解け水が流れる坂道を歩く十五歳の雪村真翔は、帰宅したその日、両親から思いもよらない言葉を告げられる。
「お前に、許嫁ができた」
相手は、真翔が生まれる前から決まっていた約束の相手。しかも、来週から同じ高校に通うという。
入学式の日、体育館の壇上に立っていたのは、新入生代表の白石美奈だった。
長い黒髪、静かな目、迷いのない声。何百人もの前で堂々と話す彼女は、真翔にとってあまりにも遠い存在だった。
実感のないまま始まる高校生活。
冬と春の境目のような季節の中で、二人の距離は少しずつ変わっていく。