あらすじ
「歴代最弱の聖女」と蔑まれてきたエステルは、自国の第四王子の治療に失敗したことを叛逆とされ、国外追放を言い渡される。
しかし追放とは名ばかり。王家に伝わる古代転移魔法《死の門》によって送り込まれた先は、濃い瘴気と腐臭に覆われた《死の森》だった。
すべてを諦めかけたエステルを救ったのは、敵国ヴァルグレンの第二王子レオナルド。
そして彼の目の前で、エステル自身さえ知らなかった力が目覚める。
百年間誰にも浄化できなかった森から瘴気が消え、死んでいた大地には再び緑が芽吹いていく。
祖国では役立たずと呼ばれた力は、敵国にとって百年来の悲願を叶える奇跡だった。
けれどレオナルドは、彼女を「聖女」として囲おうとはしなかった。
「今夜くらいは、聖女ではなくエステルとして休め」
役に立たなくても、ここにいていい。
そう教えてくれた彼の傍で、追放された元聖女は初めて、自分自身の人生を歩き始める。
これは、国に捨てられた聖女と、彼女を一人の女性として見つけた敵国の王子の、小さな恋の始まりの物語。