あらすじ
消えた人間。残された車。途切れた痕跡。
神戸で小さなガレージを営む整備士・真壁蓮司、42歳。
かつて裏六甲を走り、大阪環状の走り屋たちとも交流していた男は、今では一部の人間から「奪還屋」と呼ばれている。
探すのは、警察や探偵では辿り着けなかった“消えた人間”。
手掛かりは、残された車。
シートの位置。
タイヤの摩耗。
交換された部品。
整備の痕跡。
そして、持ち主ならしないはずの使い方。
蓮司は車を見ただけで真実を言い当てるわけではない。
整備士が故障を診断するように違和感を拾い、仮説を立て、人を訪ね、記録を確かめる。
そして、消えた人間へ辿り着く。
だが――
見つけることが、救うこととは限らない。
帰ることが、正解とも限らない。
やがて別々に見えた失踪の裏に、蓮司は奇妙な共通点を見つける。
「ROUTE」
人が、それまでの人生から消えるための道。
その存在を追うほど、現在の失踪事件は、蓮司が約20年間目を背け続けてきた“ある失踪”へと近づいていく。
神戸港。
大阪環状。
北新地。
そして、裏六甲。
愛車、Honda Accord Euro Rとともに、蓮司は30の道を走る。
逃げることは、負けることなのか。
人は、誰かの人生から完全に消えることができるのか。
これは「消えた人間」を連れ戻す物語ではない。
その人の人生を、その人自身へ返す物語。
30 SERIES 第6作。
『DEADLINE ― 30 Routes in Kobe ―』