あらすじ
48歳の治療家だった男は、柔道整復と鍼灸、そして長年続けてきた武術の知識を持ったまま、異世界の治療師エリアスとして目を覚ます。
しかし転生先のエリアスは、治癒魔法をほとんど使えない「魔力ゼロの治療師」。
患者も来ず、治療院は借金まみれ。さらに本人まで古傷のせいで足を引きずっていた。
けれど前世で何万人もの身体を診てきた彼には、すぐに分かった。
――傷は治っている。だが、身体は治っていない。
治癒魔法で骨がつながっても、以前のように剣を振れない騎士。
傷は消えたのに、肩が上がらない冒険者。
何度治療しても調子を崩す魔法使い。
この世界では「治った」とされてきた人々を、エリアスは前世の整体、運動療法、身体操作の知識で一人ずつ立ち直らせていく。
やがて彼は、人の身体に流れる「魔力」が、筋肉や骨格、身体の使い方と深く結びついていることに気づく。
そして誰にも明かしていなかった武術の経験まで、少しずつ異世界で意味を持ち始める。
これは、最強の魔法を手に入れた男の物語ではない。
魔法では治せなかった人々を、
もう一度「動ける身体」へ戻していく男の物語。
潰れかけの小さな治療院から始まる、異世界治療再建ファンタジー。