あらすじ
記憶を研磨する工場の第三室で、私は軽部と屋敷と働いている。
人間から取り出された円盤を毎分四千八百回で回し、削りすぎれば声が欠ける。
ある日、私自身の番号が記された円盤が工程へ流れてきた。
記録には三人が映っている。三人とも正しく仕事をしている。
だが、誰が誰を見ていたのかを考え始めたとき、記録の正確さと私の認識のどちらを疑えばよいのか分からなくなる。
翌朝、作業票にはすでに「七時十二分」と私の字で記入されていた。
始業ベルは、まだ鳴っていない。
横光利一『機械』の疑心と認識の運動を、記憶記録技術のある工場へ移植した短篇SF。