あらすじ
マーダーミステリー作家・水無瀬紬の新作台本は、犯人を決めていない。 全員に動機と機会を等しく配り、最後の最後に作者が一人を選ぶ。業界で「完全公平型」と呼ばれる、前代未聞の構造だ。
その最終テストプレイの夜。雪に閉ざされた山荘の書斎で、助手が死んでいた。 時刻は台本より一時間早い。倒れた位置も、万年筆のキャップの転がり方まで、すべて紬の書いたとおり。 ただ一箇所だけ、台本と違っていた。
参加者は、嘘をつく役を演じる五人。誰の嘘も「演技」に聞こえるこの夜に、本物の殺人犯は笑って拍手をしている。 最終稿を知るのは作者ひとり。最初に疑われるのは、紬自身。
台本では、二十三時に山荘が停電し、二人目が死ぬ。 嘘を設計してきた頭脳で、紬は台本との"差分"から犯人の嘘を暴いていく。
犯人はまだ決めていない。 けれど犯人は、もうこの山荘にいる。