あらすじ
十年前、七瀬由季は海の見える小さな駅で、有川冬馬を待っていた。
最終列車の時間まで待った。
けれど、冬馬は来なかった。
その日を境に、由季は町を出た。
来なかった人。
置いていかれた自分。
そう思うことで、由季は十年を生きてきた。
けれど、駅の改修をきっかけに故郷へ戻った由季は、古い写真の端に冬馬らしき背中を見つける。
あの日、彼は本当に来なかったのか。
誰が手紙を隠したのか。
そして、待っていたのは本当に由季だけだったのか。
海の見える駅を舞台に、十年前の約束、届かなかった手紙、町の沈黙、そして大人になった二人の恋が静かにほどけていく。
待つことを終わらせるための、長い物語。