あらすじ
かつて、滅びたレグナ王国で軍師を務めていたガルド・ヴァレン。
情報、兵站、地形、外交、そして人の心を読み、「戦う前に勝てる形を作る」ことを信条としていた彼は、政争に敗れ、やがて祖国の滅亡とともに奴隷へと身を落とした。
それから長い年月が流れた。
老いたガルドを買ったのは、小さな領地を継いだばかりの若き領主だった。
与えられた仕事は、屋敷の雑用。
ガルドもまた、自らの過去を語るつもりはなかった。
だがある日、領地のことで悩む若君に、ほんの小さな助言をする。
「それでしたら、先にこちらをお調べになってはいかがでしょう」
その一言をきっかけに、少しずつ領地は変わり始める。
税、農地、商い、治安、家臣、外交――。
ガルドは決して答えを与えない。
ただ問いかけ、考えさせ、ときに失敗を見守りながら、若君自身に答えを見つけさせていく。
滅びゆく国を見続けた老軍師と、これから領地を背負う若君。
これは、すべてを失った一人の老人が、その知恵と残された人生を使い、一人の少年を名君へと育てていく物語。