あらすじ
外れと告げるのが仕事だった。
見捨てることまで、仕事にはできなかった。
下級神官ヨハンは、第五等級を告げられた子どもたちに、秘密の手紙を渡している。
彼自身のハズレスキル《注釈》が読めるのは、技能の隠れた条件。
最強の使い方も、成功する未来も、教えてはくれない。
《後回し》で延期した傷は、必ず戻る。
《半分》で分けた重さは、どこにも消えない。
だから、確かめる。
何ができて、何ができないのか。
その力で、どんな仕事を選べるのか。
七年間で渡した手紙は二十三通。
ある夜、その受取人の一人から「全員、生きています」と知らされた。
だが、匿名の説明書を追う異端審問官も、すぐそこまで来ていた。
秘密の一枚で救える人数には、限りがある。
やがてヨハンは、手紙を隠さず渡せる場所を、教え子たちと作り始める。
技能の「使い方」を解き明かす発見と、誰かに必要とされる喜びを描く、師弟と再出発の異世界ファンタジー。