あらすじ

大寒の深夜一時四十分、京浜運河に面した東扇島石油基地。  三軸トラクターが牽引する全長十六メートルのアルミタンクトレーラーに、ハイオク、レギュラー、灯油、軽油など計二万四千リットルの石油類が積み込まれる。  行き先は、猛吹雪により燃料途絶の危機に瀕した群馬県北部の地域中核病院。  危険物積載車ゆえに関越トンネルを通行できない運転手・草加義朗は、圧雪とアイスバーンに閉ざされた難所・三国峠の旧道へ挑む。  内部で暴れる流体の質量、途中荷卸しによって生じる過酷な偏荷重。  目に見えぬ破壊のエネルギーを背負い、静寂の雪山を貫く男の極限の運行が始まる。  ※ この物語はフィクションです 舞台・団体等解説 東扇島石油受入基地(神奈川県川崎市):京浜運河に面した国内屈指のエネルギー供給拠点。パイプラインと巨大タンクが林立し、ナトリウム灯が照らす漆黒の路面はマイナス数十度の引火性蒸気から守るため徹底した防爆区画となっている。 極東開発製アルミタンクトレーラー & 日野プロフィア:全長十六メートル、最大積載量二万四千リットル。アルミニウム合金製の円筒型シェルは六つの独立した部屋に仕切られ、内部には防波板が備わる。総重量三十四トンを超える。牽引車(トラクター)と後部トレーラーは第五輪カプラーとキングピンのみで結合されており、制動や舵角のミスがジャックナイフ現象を誘発する。 国道十七号(三国峠旧道):群馬と新潟を結ぶ山岳道路。関越トンネルが危険物積載車両の通行を禁止しているため、タンクローリーにとって冬期でも回避できない唯一の越境路。急勾配、ヘアピンカーブ、ブラックアイスバーンが連続する過酷な難所。 北毛地域医療センター(仮称):群馬県北部の山間に位置する総合病院。豪雪で孤立状態となり、ボイラー用の重油・灯油および非常用発電機の軽油残量が払底寸前に陥っていた。

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エブリスタ
エブリスタ2026/10/05
  • 現在の作品【小説】三国峠を超えて ── 男が運ぶのは「日常」という温もりだった ──