あらすじ
母が亡くなって三週間。実家を片づけていた真帆は、十年以上分の買い物手帳を見つける。
そこには毎週木曜日、決まって「ひかり屋 卵・牛乳・パン」と書かれていた。ところが近所にも地図にも、「ひかり屋」というスーパーは存在しない。しかも母は他の店では必ず金額を記録しているのに、「ひかり屋」だけ金額がなく、レシートも一枚も残っていなかった。
さらに最後の買い物メモには、卵、牛乳、パンに続いて、なぜか「真帆」と自分の名前が書かれている。
母は毎週木曜日、いったいどこへ行っていたのか。
手帳、レシート、青果店の証言を手がかりに真帆がたどり着いたのは、母の古い友人・光江の家だった。
そこで明かされたのは、卵と牛乳とパンに隠された、二人だけの約束。
それは買い物ではなく、「今週も生きている」「また会おう」と確かめ合うための合図だった。
そして母が最後に買おうとしていたものの本当の意味を知ったとき、真帆は母の続きを引き受けることになる。
存在しないスーパーをめぐる、小さな謎と、誰かと生きることを描いた日常ミステリー。