あらすじ

霧生台。一九七〇年代に別荘分譲地として売られた山。四百七十二区画。建った家は、九軒。 宮原清一は、父が買わされた二区画をその山に相続した。売れない。寄付もできない。納税通知書だけが、毎年届く。 二〇〇四年、麓の寺が山の一角に樹木葬の霊園を開いた。墓地を経営できるのは、市町村か、宗教法人か、公益法人だけだという。個人ではだめなのだそうだ。永続性と非営利性が確保されないから。 宮原は土地を貸し、雇われて現地の管理人になった。自分の山で、自分のものではない規約に従って、穴を掘る仕事である。 規約にはこう書いてある。個別に埋蔵するのは、使用許可の日から二十年。注記がある。——納骨した日からではありません。 管理料が途切れた区画には、官報に載せ、立札を一年立てる。一年のあいだに誰も来なければ、掘り返して、布の袋に移して、共同埋蔵室へ入れる。中でどれが誰の骨か、もう分けられない。 区画は、空く。空いた区画は、また売れる。 これは、誰も壊れない話。 ――全13章・完結。グロテスクな描写はありません。

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エブリスタ2026/09/26
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