あらすじ
=あらすじ(ネタバレ含める)=
小説投稿サイトで十年以上作品を書き続けてきた作家・こうきゆなには、ひとつだけ叶えたい夢があった。
「異世界の料理店を舞台にした物語を、いつか一つの人気ジャンルにしたい」
料理、世界観、客となる異世界人たち。何年も研究して書き続けたものの、ゆなの作品はほとんど読まれなかった。疲れ果てた彼は、小説を書くことからしばらく離れる。
数年後。
投稿サイトへ戻ってきたゆなが目にしたのは、大量の「異世界の食堂もの」だった。
しかも、書籍化予定の人気作をいくつか読んでみると、かつてゆなが公開していた料理、登場人物、エピソード構成、さらには未完の作品で提示していたプロットまで酷似している。
ゆなは自分が先に書いていた作品を再公開する。
ところが寄せられたのは「流行ってるからって真似しないでください」「人気作品のパクリですよね?」という批判だった。
怒ったゆなは、そのコメントを材料に一本の小説を書く。
主人公の作品を盗んだ作家たちが、最後には自分の言葉で物語を書かなければならなくなる――そんな痛快な「ざまぁ小説」。
それが大炎上し、そして大ヒットする。
「これ、作者本人の復讐じゃないか?」
そう面白がった編集者から書籍化の声がかかり、作品は重版、コミカライズ、映像化へ。
やがて、ゆなのプロットを盗んだ作家たちが謝罪に現れる。
ゆなが出した条件は一つ。
「俺に謝らなくていい。読者に、本当のことを話してくれ」
そして謝罪を終えた彼らに、ゆなは告げる。
「じゃあ次は、自分の物語を書こう」
復讐から始まった物語は、やがて売れない作家たちを育てる物語へ変わっていく。
これは、一度も流行を作れなかった男が――本当に流行を作るまでの奮闘記である。