あらすじ
私の職業は、犯人です。
宿泊型の推理イベントで、年に八十回ほど人を「殺し」ている。本当は探偵役をやりたいのに、顔が「どう見ても何もしていない人」らしく、回ってくるのはいつも犯人役だ。
そんな私が、台風で孤立した洋館ホテルで見つけてしまった。台本にない、本物の死体を。
しかも、被害者のグラスに毒を注いだのは、十人の客の目の前にいた私自身。
解決編は二時間後。台本どおりなら、私は名探偵に指をさされて「犯人」として連行される。
頼みの名探偵役は、台本がなければ何も推理できない人気俳優。
ならば仕方ない。犯人役の私が、犯人のふりをしたまま、本物の犯人を探し出す。
この事件の筋書きを書いたのは、私ではない。――少なくとも、そのはずだった。