あらすじ
地方情報誌の記者・榊原慎司は、仕事で結果を出せずにいた。
記事はボツ続き。
取材も空回り。
編集長からも、次に結果を出せなければ担当を外すと告げられている。
そんな彼のもとへ、ひとつの事件が持ち込まれる。
心霊や都市伝説を扱う動画クリエイター5人組「VOID WALKER」。
彼らは山中にある一軒の廃墟を訪れ、その夜――3人が行方不明となった。
生還した男女2人は、血と泥にまみれ、ひどく錯乱していたという。
しかし、慎司が事件を調べ始めると、奇妙な食い違いが次々と見つかる。
「三人が消えた」
そう証言する男。
一方、女は何度も繰り返していた。
「違う。四人いなくなった」
5人で向かい、2人が生還したのなら、消えたのは3人のはず。
だが警察の記録に残された行方不明者は、なぜか2人だけ。
さらに「VOID WALKER」の過去動画を調べても、“5人目”に関する記録だけが不自然なほど曖昧だった。
そして彼らが訪れた廃墟には、古くから奇妙な噂が残されていた。
――家の中で人数を数えてはいけない。
――名前を呼ばれても、姿を見るまで返事をしてはいけない。
――家を出るとき、最後尾を振り返ってはいけない。
家の奥には、かつて災いを封じるために祀られたという小さな祠。
地元の人間は、それをただ、
「タタリガミ」
と呼んでいた。
仕事を立て直したい。
そして、食い違う証言の真相を確かめたい。
慎司は回収された映像、音声記録、関係者への取材を重ね――やがて自ら、事件の起きた廃墟へ向かうことを決意する。
だが、その家へ足を踏み入れてから。
慎司の取材記録にも、説明のつかない“誰か”が混ざり始める。
録音した覚えのない声。
撮影した覚えのない写真。
そして、自分一人で行ったはずの取材に残された――
もう一人分の記録。
彼らは、本当に5人であの家へ入ったのか。
消えたのは誰だったのか。
そして慎司は――
本当に、一人であの家へ向かったのか。
これは、とある廃墟で起きた失踪事件と、
その真相を追った一人の記者が残した、
“人数の合わない”取材記録である。