あらすじ
悪役令嬢は、恋だけがわからない』
「私との婚約を、解消していただけませんか?」
十八歳の公爵令嬢、アリアナ・フォン・ヴァレンティア。
政治、経済、外交、法律――何をやらせても完璧。
王太子レオンハルトの婚約者としても非の打ち所がなく、周囲からは「冷酷な悪役令嬢」と恐れられている。
けれど、本当の彼女は誰よりも優しい。
困っている侍女にはさりげなく手を差し伸べ、婚約者の好物を覚え、誰よりもレオンハルトのことを気にかけている。
ただ一つだけ。
アリアナには、どうしても分からないことがあった。
――自分が、レオンハルトに愛されているということが。
幼い頃からずっと自分を大切にしてくれる彼。
自分の意見を誰よりも尊重してくれる彼。
自分にだけ見せる、柔らかな笑顔。
けれどアリアナは、それをすべて「婚約者だから当然のこと」だと思っていた。
そしてある日、彼女は思う。
「殿下には、私よりもっと相応しい女性がいるはず」
愛する人の幸せのためなら、身を引くべきだ。
そう決意したアリアナが告げたのは――
「殿下。私との婚約を、解消していただけませんか?」
しかし。
「……嫌だ」
返ってきたのは、まさかの拒絶だった。
「なぜ私が、君を手放さなければならない?」
完璧な王太子が、初めて余裕を失う。
実はレオンハルトは、幼い頃からずっとアリアナだけを愛していた。
彼女が自分を好きだと、当然のように思っていたのだ。
――なのに、本人だけが気づいていない。
天才なのに恋だけは鈍感な令嬢と、
彼女を溺愛してやまない王太子。
すれ違っていた二人の恋が、今ようやく動き出す。
「私は、君との婚約を終わらせるつもりなどない」
これは、
「愛されていること」に気づけなかった少女が、
自分の恋と幸せを見つける物語。