あらすじ
明治二十年代、帝都・東京。
西洋化の波が押し寄せる中、古くからある和画の「余白と空気感」にこだわり、貧乏生活を送る若き絵師・蓮(れん)。
ある夜、街の「空気の不自然な乱れ」に誘われて足を踏み入れた路地裏で、蓮は血に染まった謎の男から右目に「烏の眼」を託される。
一変した視界に映ったのは、日本という土地の平和と静寂を古代より護ってきた「八咫烏(ヤタガラス)の大結界」と、それがバチバチと焼き切られていく凄まじい光景だった。
結界を切り裂くのは、過酷な故郷から逃れてきた異邦の人々が放つ、必死の「生存の秘術」。
環境を強固に上書きする異国の秘術と、場の調和を静かに保つ八百万(やおよろず)の結界——。
誰も悪者ではない。ただ、生きるために必要な「術の波長」が違いすぎるのだ。
二つの力と文化がぶつかり合う明治の街で、余白と調和を描く絵師・蓮が選ぶ「第三の道」とは——。