あらすじ
魔王は倒された。――そして、世界は滅びた。
目を覚ました青年・レオンがいたのは、見知らぬ異世界だった。
そこには村があり、人々が暮らし、子供たちが笑っていた。
一見すれば、どこにでもある平穏な村。
しかし夜になり、鐘が鳴った瞬間。
村人たちは腐敗した死者の姿へと変わった。
この世界では、人間はすでに滅びている。
街を歩く者も、畑を耕す者も、言葉を話す者も――すべて死者。
その中でただ一人、レオンの心臓だけが動いていた。
死者に触れたとき、レオンの脳裏にはその者が生きていた頃の記憶が流れ込む。
そこで彼が目にしたのは、
「勇者エリシアが魔王を討ち、世界を救った」
という過去だった。
だが、魔王が倒されたはずの世界に、生者は誰一人残っていない。
そしてレオンの前に現れた白髪の少女もまた、自らを「エリシア」と名乗った。
彼女の手は、死人のように冷たい。
それなのに彼女は、なぜかレオンの名前を知っていた。
なぜ魔王を倒した後、世界は滅びたのか。
なぜ死者たちは今も、生前の暮らしを繰り返しているのか。
エリシアは何者なのか。
そして――なぜレオンだけが生きているのか。
死者しか存在しない世界を巡りながら、失われた記憶と世界滅亡の真相を追う異世界ダークファンタジー。
【主な登場人物】
■レオン
本作の主人公。
見た目は十代後半から二十歳ほどの青年だが、現代日本で三十代の男性として生きていた記憶を持つ。
前世で自分が死んだことは覚えているものの、死因や前世の名前は思い出せない。
現在の肉体についても「レオン」という名前以外の記憶を失っている。
死者しか存在しない世界において、唯一心臓が動き、血が流れる「生者」。
死者に触れたり、死者を倒した際に、その者の過去の記憶を見る不可解な現象を経験する。
なぜ自分だけが生きているのか、その理由は本人にも分かっていない。
■エリシア
レオンの前に現れた白髪と赤い瞳を持つ謎の少女。
見た目は十五、六歳ほど。
死者しかいない世界で人間の姿を保ち、普通に会話することができる。
しかし身体は死人のように冷たい。
かつて魔王を倒したとされる「勇者エリシア」と同じ名前を持つ。
さらに、初対面であるはずのレオンの名前を知っている。
彼女がかつての勇者本人なのか、そもそも生者なのか死者なのかは不明。
【世界観】
かつて魔王と勇者が存在した世界。
勇者エリシアによって魔王は討伐され、長い戦争は終わった。
本来ならば、世界には平和が訪れるはずだった。
しかし魔王が倒された後、世界中の人間が死亡。
それにもかかわらず、多くの死者は今も生前と同じ生活を繰り返している。
そして各地では「鐘」が死者たちに不可解な影響を与えている。
世界が滅びた原因と魔王討伐の間には、何らかの秘密が隠されている。