あらすじ
金曜日になると、その日にあった出来事を忘れてしまう朝倉透は、誰かと深く関わることを避けてきた。
どうせ思い出を失ってしまうのなら、大切な人なんて作らないほうがいい。そう思う透にとって、誰にも干渉されない神社だけが心を休められる場所だった。
そんなある日、神社で古びた着物をまとった少女と出会う。戦争の時代を生き、神隠しによって現代へ迷い込んだ少女。かつて、誰も頼ることのできない自分と、帰る場所すら失った彼女の姿が重なり共同生活を提案する。
見知らむ彼女を警戒しているものの、少女の優しさに触れるうち、透の中にも少しずつ変化が生まれていく。
彼女に倣い感謝の言葉を口にするようになり、表情も柔らかくなっていく。そうした変化がクラスメイトと話すきっかけを作ってくれる。やがて、助けを求められるほどに成長した彼と、澄にも元に帰る方法を見つけ出すことに成功する。
けれど、そのためには一つの代償を払う必要があった。透は迷う。それでも、彼女を帰すことを決意し、限られた時間の中で、二人は最後の一週間を過ごす。
これは、過去に囚われていた少年が、一人の少女との出会いを通して、大切な人と「今」を生きることを知る物語。