あらすじ
関ヶ原の勝者として名を残した黒田長政。その晩年を、秋の福岡城から静かに描く歴史物語である。若き日に理解できなかった父・黒田如水の言葉「勝つことより、残すことを考えよ」。老境を迎えた長政は、戦の記憶、父の影、そして息子・忠之との確執を抱えながら、その真意を噛みしめていく。やがて病に伏した長政は、勝敗ではなく、家族への思い、家臣への信頼、そして父から受け継いだ生き方こそ、自らが残すべきものだと悟る。忠之が如水の書状を見つけたとき、三代の思いがつながり、黒田家の新たな時代が静かに幕を開ける。