あらすじ
田中直樹と大石早苗は、幼い頃からいつも隣にいた幼馴染。冷静で分析好き、鉄道を愛する直樹と、明るく天真爛漫で「僕」と自分を呼ぶ天然ボケの早苗。二人は陸上競技に出会い、早苗は100メートル、直樹は5000メートルというまったく異なる種目で才能を開花させる。
互いに励まし、ときには笑わせながら成長した二人は大学生となり、ついに世界へ。2028年ロサンゼルスオリンピックで、早苗は女子100メートルを10秒47、直樹は男子5000メートルを12分34秒88で制し、そろって金メダルを獲得する。2032年ブリスベン大会でも頂点に立った二人だが、人生は競技だけではない。卒業後、直樹はJR九州の鉄道員、早苗は鹿児島市内の幼稚園教諭となり、それぞれの夢を歩み始める。
やがて二人は結婚し、娘・早織と息子・大樹が誕生。仕事と育児を大切にするため2036年大会への出場を見送り、家族としての日々を選ぶ。それでも走ることへの情熱は消えず、2040年、二人は再びオリンピックへ挑戦し、三度目の金メダルを手にする。
そんな世界的アスリート夫婦の日常は、驚くほど庶民的で、いつも笑いにあふれている。特に早苗の名物は、冷たい梅ジュースを飲んだあとの豪快な「ぷっは〜!」。見た目だけなら完全に晩酌だが、実は早苗も直樹も酒には滅茶苦茶弱い。ほんの少量でも酔ってしまうため、早苗の「ぷっは〜!」の正体が梅ジュースだと知った周囲から毎回ツッコまれる。早苗が天然ボケを放ち、直樹がすかさず拾う夫婦漫才は、子どもが生まれても変わらない。
世界記録も金メダルも、二人の人生の大切な一部。しかし、本当の主役はその間にある何気ない毎日だった。競技、仕事、恋愛、結婚、子育て。人生で何度も訪れる新しいスタートラインに二人は並んで立ち続ける。
速さの違う二人が、それでも人生では隣を走り続ける。
『となりのスタートライン』は、世界の頂点を極めた二人のアスリートが、笑いと家族への愛情を胸に、自分たちらしい人生を走り続ける物語である。