あらすじ
「本物の愛と絆を注ぎ込まなければ、極上の絶望は実らない」
――ヴィンセントは、勇者パーティー専属の参謀兼補給係。
戦う力は皆無だが、温厚な人柄と深い知識で落ちこぼれの勇者アルスと、心を閉ざしていた聖女エレナを誰よりも慈しみ、手塩にかけて「本物の英雄」へと育て上げた。
そして迎えた魔王城の決戦。
死闘の果て、魔王を討ち果たし、二人が抱き合って世界平和の未来を誓い合ったその瞬間――世界を救うための「残酷な理」が牙を剥く。
魔王の魂を完全に滅ぼす唯一の術。
それは、世界で最も深く愛し合う者の命を、聖剣に捧げること。
絶望に震える勇者。
自ら刃に飛び込む聖女。
そして――すべてを知りながら、慈愛の微笑みを浮かべたまま極上の瞬間を観察する参謀。
これは、二人の美しい破滅を一番いい特等席で見届け、その魂から滴り落ちる雫を味わう、ひとりの男の物語。
※本作は1話完結の読み切り短編です。
※主人公による直接的な暴力・嘲笑・裏切りはありません。純度100%の愛と自己犠牲による破滅(メリーバッドエンド)を描いています。