あらすじ
会社の希望退職に応じ、十四年あまり勤めた会社を辞めた三浦和真、三十六歳。
十分な貯金と退職金もある。
半年くらいは何もせず、無職生活を満喫するつもりだった。
――そのはずだった。
退職から数日後、和真の視界に突然、謎の表示が現れる。
『貴方は《因果祭典》を入手しました。』
DECK。
HAND。
MANA。
さらに目の前に実体化したのは、騎士や魔法が描かれた七枚のカード。
どうやら和真が覚醒したのは、三十枚のデッキからカードを引き、時間ごとに回復するマナを支払って、召喚・攻撃・防御・治療などの効果を現実に発生させるTCG型の異能らしい。
問題は一つ。
和真は、TCGを一度も遊んだことがなかった。
「……手札って、手に持ってる札って意味だったのか」
国の特殊事象対応機関、通称《八咫烏》へ登録。
カードショップで一からTCGを教わり、自分の《天輪》デッキを確認。
低コストの騎士を展開し、支援カードを差し込んで戦うアグロ寄りの構成だと知り、チュートリアルクエストによって最大マナも少しずつ増えていく。
そして能力者たちが集まる秘密施設《鳥籠》では、治癒カード《天輪の手当》を実際の患者へ使用。
さらには人生初の異能模擬戦へ。
剣術も格闘技もできない和真だったが、召喚した騎士たちは自律して戦えることが判明する。
ならば、自分がやるべきことは一つ。
召喚体が戦う盤面を見て、本当に必要な瞬間だけカードを切ること。
「……そうか。戦うのはあいつらで、俺は必要な時にカードを切ればいいのか」
だが、《因果祭典》は単なる召喚能力では終わらない。
マナ。
ドロー。
手札管理。
テーマデッキ。
カード同士のシナジー。
クエストによる成長。
新カードの獲得。
そして、いずれ始まる本格的なデッキ構築。
低コストを次々展開するデジタルTCG的なテンポ感と、テーマを持った召喚・魔法・支援カードを組み合わせるカードゲーム的な駆け引きが、そのまま現実の異能バトルになる。
さらに《因果祭典》には、もう一つ重要な成長要素があった。
――人との《縁》。
八咫烏の担当官。
カードショップの店員。
鳥籠で出会う能力者たち。
能力者学校の教師や生徒。
仕事先で出会う人々。
そして、友人や恋人になっていく者たち。
彼らと出会い、遊び、相談に乗り、時には悩みや事件を一緒に乗り越える。
関係が深まるほど新たなカードやテーマが解放され、和真のデッキそのものが変わっていく。
強くなるためだけに人付き合いをするつもりはない。
だが困っている人を放っておけず、気づけばコミュニティはどんどん広がっていく。
カードショップ。
能力者たちの《鳥籠》。
異能を教える学校。
八咫烏から舞い込む単発の仕事。
怪異や能力犯罪。
そして、いつか出会う――和真とはまったく異なるデッキを操る、多数の《因果祭典》の使い手達。
無職になって暇になるはずだった三十六歳の人生は、覚醒前より遥かに忙しくなっていく。
TCG未経験のおっさんがカードゲームを一から覚え、人との縁でカードを増やし、デッキを育てながら現代異能社会を駆け抜ける。
現代異能×TCGデッキ構築×コミュ育成型現代ファンタジー!!!
なろうハーメルンでも掲載してます。