あらすじ
澤田浩哉、40歳。
うだつの上がらない会社員。
趣味はアニメとラノベ、そしてフィギュア。
休日、好きなアニメのフィギュアを探しにアニメイトへ向かっていた浩哉は――道端の小さな石につまずいた。
「いてて……」
立ち上がる。
そこは江戸時代だった。
しかも自分は、55歳の伊能忠敬になっている。
伊能忠敬。
もちろん浩哉だって知っている。
日本中を歩いて、日本地図を作った人。
――知っているのは、それだけだった。
そして転生した日は、よりによって第一次測量の出発当日。
「今日!?」
待ってくれ。
測量なんてできない。
日本中なんて歩きたくない。
そもそも最初はどこへ行くんだ?
「蝦夷地です」
「……北海道!?」
さらに浩哉の前には、史実上の伊能忠敬がいつ、どこへ到達したのか――その「事実」だけを表示する謎のステータスが現れる。
ただし。
測量方法は教えてくれない。
正しい道も教えてくれない。
攻略法なんて当然ない。
そして史実から大きく外れれば――タイムパラドックスにより、未来の日本が消滅する可能性があるらしい。
「だったら全部教えてくれよ!」
史実という答えはある。
だが、そこへ辿り着く方法は自分たちで見つけるしかない。
歩く。
測る。
また歩く。
夜は星を見る。
そしてまた歩く。
「伊能忠敬って、頭バグってない?」
「先生が伊能忠敬ですが」
これは、日本地図を作る偉人になりたかったわけでもない普通の40歳が、文句を言いながら日本を歩き――やがて本当の意味で「伊能忠敬」になっていく物語。
史実の測量ルートや出来事をもとに描く、歴史ロードコメディ。
――俺はもう歩きたくない。
それでも、この一歩がいつか未来の日本へ繋がるのなら。