あらすじ
「――あなたが失ったもの、買い戻します。」
ごく普通の少年・トキは、ある日突然、見知らぬ異世界へ迷い込む。
帰る方法も分からないまま彷徨った末、彼が辿り着いたのは、街の路地裏にひっそりと佇む奇妙な店だった。
そこに並ぶのは、剣でも魔法道具でもない。
記憶。時間。才能。再会。そして、未来。
店を営むのは、人間とは思えないほど美しく、どこか謎めいた女店主。
初めて会ったはずなのに、彼女はトキの名前を知っていた。
「いらっしゃい。ずいぶん遠いところから来たのね、トキ」
元の世界へ帰る方法を探すため、トキはその店で働くことになる。
毎日のように訪れるのは、それぞれに“取り戻したいもの”を抱えた客たち。
ただし、この店には一つだけ絶対のルールがある。
願いには、必ず相応の代価が必要になる。
客たちの願いに触れるうち、トキは少しずつ気づいていく。
自分がこの店へ辿り着いたことも。
店主が自分の名前を知っていたことも。
――すべて、偶然ではなかったのではないか。
これは、誰かの願いから始まった少年が、自分自身の未来を選ぶまでの物語。