あらすじ
死亡が確認された職員が、翌日も普通に出勤している。
本来なら、そんなものは世界の整合から外れている。
だから僕たちは、理由をつける。
「引き継ぎ期間中だった」
正しい説明である必要はない。
必要なのは、「それなら、そこにあってもおかしくない」と世界を納得させること。
僕たちは、秘密結社ズレ処理班。
人、部屋、町、時間。
この世界には、ときどき説明のつかない「ズレ」が生まれる。
僕たちの仕事は、それを退治することでも、元に戻すことでもない。
報告書を書いて。
もっともらしい理由を考えて。
どうにか帳尻を合わせる。
なぜなら、説明できないものは消えてしまうから。
昨日までなかった町があるなら、昔からあったことにすればいい。
存在するはずのない部屋があるなら、存在してもおかしくない理由を探せばいい。
正しいかどうかは、わりとどうでもいい。
大切なのは、残すことだ。
これは、世界のほころびを「なかったこと」にしないため、今日も理屈をひねり出す人たちの話。