あらすじ
孤児院から引き取られていった弟妹は、六年で十四人。手紙は、一通も届いていない。
ただ一人、誰にも迎えに来られなかったリネットは、十七歳の今、王宮の洗濯場で働いている。口癖は「汚れは嘘をつかない」。
ある夜、公爵家の嫡男が毒に倒れ、乳母が捕らえられた。
皮肉屋の監察官が洗濯場に持ちこんだのは、事件の夜の衣装一式。灰汁に浸けた袖に浮かんだのは、紫の指の跡と、一本だけ欠けた丸い空白。
そして、事件の衣類の中にあった一枚の小さな肌着。その襟の内側には、リネットがかつて刺繍した、下手くそな星があった。
洗濯係が汚れから真実を見抜く、王宮ミステリー短編。