あらすじ
営業部長の黒田は、ある朝、部下の高橋から妙な報告を受けた。
「部長、今日から新人が一人入ります」
「誰だ?」
「AIです」
「……人間は?」
「いません」
こうして営業部に配属されたのは、営業支援AI《アシスト》。
顧客情報の整理、営業成績の分析、訪問先の提案。
新人とは思えない正確さで仕事をこなしていくアシストに、黒田たちは次第に驚かされていく。
だが、AIが優秀になればなるほど、黒田には一つの疑問が浮かんできた。
「じゃあ、人間は何をすればいい?」
効率、売上、利益。
数字だけを見れば、AIの答えはいつも正しい。
しかし、会社には数字だけでは測れないものもある。
顧客との信頼。
部下の成長。
失敗から得た経験。
誰かと一緒に働くということ。
やがてアシストは、営業部だけでなく会社全体のデータを分析するようになる。
そしてある日、AIは経営陣に対して、とんでもない結論を提示した。
「社長を交代させるべきです」
AIは間違っているのか。
それとも、人間が見ないふりをしていた「正しい答え」なのか。
AIが答えを出す時代に、
人間は何を「答え」にするのか。
これは、営業部長と一人の新人AIが過ごした、少し変わった十日間の物語。