あらすじ
婚約破棄を告げられた、その朝。
帰ろうとする私に、十六歳の弟が「僕も試合をやめて帰る」と言い出した。
今日は、弟が初めて剣術会に出る日なのに。
「ルカ。あなたの試合を、見に行ってもいい?」
婚約者に上品であれと言われて、いつの間にか控えるようになっていた、大声で笑うことも、身内の話に夢中になることも。
けれど、一本取り返した弟を見たら、黙ってなどいられなかった。
「姉様。声、大きすぎる」
「ごめんなさい。嫌だった?」
「……嫌ではないけど」
恋が終わって悲しい。でも、弟の頑張りは嬉しい。
勝ちたい弟と、最後まで見届けたい姉。
失恋した一日が、少し騒がしく、温かくなるお話。