あらすじ
天正九年、日本海に臨む鉄州。黒鉄城の主・風間村正――人々が「デリル」と呼ぶ男は、不敗の軍神にして、冷徹無比の統治者だった。
彼は実の妹・雫を正室に迎え、幾重もの城壁の奥に閉じ込めている。
雫は兄を骨の髄まで憎みながら、完璧な「大和撫子」を演じ続けていた。城に囚われた何千もの民と、洞窟の奥に隠れた信徒たちを守るために。
後宮の女たちもまた、誰ひとりデリルを愛してはいない。毒を盛る者、朝廷の刺客、復讐を誓う者。偽りの微笑みの裏で、牙を研ぎ続けている。
憎しみ、信仰、そして歪んだ愛。
鉄の城に咲いたのは、救いか、それとも呪いか。
かつて「賢き若君」と呼ばれた少年は、なぜ父を討ち、神を捨てたのか。
雪山で凍えた母の最期から始まる、戦国ダークファンタジー。
※第一話は、すべての始まりとなる「あの夜」の物語です。
※残酷描写・暴力描写があります。近親婚を含む倫理的に重い題材を扱います