あらすじ
婚約破棄された染め手リーゼロッテ、今度は自分の名の工房で王家の婚礼布を染めます――手柄を横取りした人たちは、雨と日と水に、順番に色を剥がされていきます。
「青い手の女など要らない」と侯爵家を追われ、御前染めで暁染めの作者と認められたリーゼロッテ。茜の領主ユリウスの求婚に「ハーゼルへまいります」と答えた十日後、王室衣装局から発注書が届く。第二王女の婚礼布、暁染め四十八反を百日で。ひとりで染めれば二百日を超える量だ。
彼女は茜掘りの女たちを雇い、字の読めない半数のために刻み目の「絵札」を描く。ところが王都では、元婚約者セドリックが顧問に収まった組合が、工程を省いた偽の暁染めを半値で売り出していた。灰の買い占め、染め手の引き抜き、金貨五百枚の「名を貸せ」。
リーゼロッテが応じるのは、手順を一枚ずつ書き足すことだけ。
工房の場所も、甕の並びも、婚約の届けを出す日も。ユリウスは必ず尋ね、決めるのはリーゼロッテだ。
※短編『「青い手の女など要らない」と婚約破棄されたので~』の連載版です。短編未読でも第1話から読めます。