あらすじ
「最後に、言い残すことは」
処刑人が私の手を取った瞬間、頭の中に声が響いた。
――絶対に死なせない。
聖女殺害の冤罪で婚約を破棄され、処刑台に立った侯爵令嬢ミラ。
その場で前世を思い出した彼女は、自分が小説の序盤で死ぬ悪役令嬢だと気づく。
けれど、彼女を斬るはずの寡黙な処刑人カイは、心の中で必死に救命を願っていた。
素肌が触れた相手の、今、強く考えている言葉だけが聞こえる。
口にできない秘密。過去の親切。うまく言えない好意。
怖い顔の彼は、なぜ蜂蜜を二匙入れ、彼女の歩幅で歩くのだろう。
救われるだけでは、終わらない。
証拠の取り違えを見抜き、自分で無実を証明し、元婚約者への復縁も断るミラ。
だが、死んだはずの聖女が目を開け、彼女を犯人だと怯えた――。
「心の声が聞こえなくても、あなたに会いたい」
処刑台で始まった二人の関係は、やがて、本人の声で選ぶ恋へ。
冤罪の逆転、寡黙なのに本音が忙しい一途な男性、成人同士の一対一の恋愛。
全十六話、名誉回復と結婚まで描く完結作。ハッピーエンド。