あらすじ
毎晩、午前二時十三分になると、隣の空室から三回のノックが聞こえる。
――コン、コン、コン。
そして必ず、女の声がする。
「……いる?」
気味が悪いと思いながらも、主人公は決して返事をしなかった。
ある夜、恐怖に耐えきれず友人の美咲を家に呼ぶ。
しかし、その夜から奇妙なことが起こり始める。
雨など降っていないのに濡れている美咲の靴。
二人が出会った場所を間違える美咲。
持っていないはずの鍵。
そして、自分が「いつからここにいるのか」と尋ねる美咲。
やがて、午前二時十三分になると、ノックは隣室ではなく、主人公の部屋の中から聞こえるようになる。
その声の正体を探るうち、主人公は三年前に亡くなった美咲の存在と、自分自身の記憶に隠された「ある事故」の存在を知る。
しかし、思い出した過去は、主人公が信じていたものとは違っていた。
美咲はなぜ、三年間も主人公の前に現れ続けたのか。
なぜ彼女は「返事をしてはいけない」と警告するのか。
そして、事故の日の車の後部座席に写っていた、見覚えのない女はいったい誰なのか。
すべてを思い出したとき、主人公は気づく。
自分が忘れていたのは、ひとつの罪だけではなかった。
午前二時十三分。
あの日から止まっていた時間が、再び動き始める。