あらすじ

二〇五五年、第三次世界大戦から二十五年が過ぎた東京。前世の記憶を呼び覚ます技術「記憶の森」が広まった社会で、十五歳のハリマは、幼い頃から同じ夢を見続けていた。すずらんの生けられた花器に、自分が打った女の血が散る夢を。 転校生のキクノと出会った瞬間、彼は悟る。二人は時を超えて何度も出会い、愛し合い、そして無惨に別れてきたのだと。たどれる最も古い記憶は、番町皿屋敷。大名・青山播磨と下女お菊の悲劇だった。 過去の因縁に心と身体を蝕まれていく二人は、年齢のわからない不思議な女・ミダを訪ね、古来の瞑想で魂の記憶をさかのぼっていく。 平成の東京。ニコライ堂で出会い、結ばれた播磨と菊野は、十六年の結婚生活の果てに、静かに壊れていこうとしていた。 明治の番町。欧州視察から帰った華族の当主・青山播磨は、ロシア貴族に仕えていた日本人女性・希久を屋敷に迎える。だが、家宝の皿が一枚消えたその日から、愛は疑いと嫉妬へと姿を変えていく。 なぜ二人は、愛し合うたびに傷つけ合うのか。輪廻の螺旋の底に沈んでいたものとは――。 番町皿屋敷をモチーフに、近未来・平成・明治を行き来しながら描く、時を超えた愛憎と魂の解放の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/10/06
  • 現在の作品千代の夜を越えて