あらすじ
心が、瞳に色となって表れる世界。
人は色を布に移して術を使い、真偽を見抜く藍の布の前では誰も嘘をつけない。
ただ一人、灰眼のガドだけは違う。
色を持たない彼には、魅了も結界も、真偽の審問も効かない。だからこの世界では、灰眼の言葉は証にならない。
隣に住む少女ミルが、弟の薬のために自分の色を売った。
色の行き先を追って仲買を締め上げたその夜、仲買は遠くから誰かに色を抜かれ、ガドの目の前で抜け殻になる。
踏みこんできた査色官・沈青漣は、布の読めない男にこう告げた。「灰眼の言葉は、証になりません」
互いを信じないまま手を組んだ二人が辿り着いたのは、色札を刷る鋳造所の、色ある者は入れない蔵だった――。
誰にも信じられない男が、生涯でただ一度だけつく嘘の話。