あらすじ

人は死ぬとき、瞳に一瞬だけ、その人の色が灯る。 海辺の町・宵ヶ浦の送り染め師は、その「最期の色」を布に移し、遺された家族に渡す。一年後、家族はその布を灯籠にして海へ流し、死者を送る。 送り染め師のかさねは、町いちばんの腕を持ち、客の前で一度も泣いたことがない。 けれど一年前、父の最期の色だけは、どうしても布に出なかった。真っ白なままの形見布を、かさねは誰にも見せずに隠してきた。 布流しの七日前。叔父が町じゅうの前で箱を開けさせ、言い放つ。「兄貴は色を売って死んだ抜け人だ」。 父の名と店を守るため、かさねは父の最後の半年を辿りはじめる。 見つかったのは、毎晩の日付と「碧へ」とだけ書かれた、父の帳面だった――。 死んだ父が娘に遺したものと、泣けなかった娘の、一年遅れの見送りの話。

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小説を読もう2026/10/06
  • 現在の作品父の最期の色を、私は染められなかった ~送り染め師の娘が、白いままの形見布を一年隠していた理由~