あらすじ

この国では、心が瞳に色となって出る。だから貴族は、扇で目もとを隠して生きている。 伯爵令嬢リュシエルの瞳に出るのは、激しい「紅」。母に「見せてはいけない色」と教えられ、八つの年から扇の陰で生きてきた。そのかわり、扇の陰から他人の色を読むことにかけては、王都で右に出る者がいない。 社交季の幕開けの舞踏会で、婚約者が彼女の扇を返した。婚約破棄だ。理由は、婚約の証に納めた紙幣がすべて偽札だったこと。扇を失った目もとに紅が燃え、婚約者は広間に告げる。「罪を知る者の紅です」と。 そのとき進み出たのは、一度も扇を開いたことがないと噂される公爵令息ヴァレリアン。瞳に何の色も出さない、彼女にただ一人読めない人だった。差し出されたのは、閉じた扇。求婚の作法だ。 季節の終わりに解く約束の婚約。期限までに、家の潔白を自分の手で証明しなければならない。 なのに、彼と扇を下ろす稽古をするたび、瞳に灯る紅を止められなくて――。 色の読めない公子と、色を隠せない令嬢の、婚約破棄から始まる恋の話。(約13,500字・完結済み)

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小説を読もう2026/10/06
  • 現在の作品扇を返された令嬢は、素顔の紅を隠せない ~婚約破棄の夜、心の読めない公爵令息が閉じた扇を差し出してきました~