あらすじ
セインは、自分こそ本物の勇者だと本気で信じている。
幼い頃、村の勇者の紋章が自分の前で光ったからだ。
ただし実際は、雨上がりの水滴に日光が反射しただけだった。
そんなことを知らないセインの前で、王国は別の少年を正式な勇者に選んだ。
「王国が間違えたなら、俺が先に魔王を倒せばいい」
そうして始まった勇者追跡の旅。
セインの固有スキル《簒奪》は、触れた相手のスキルをコピーできる。
ただし、能力を手に入れても使い方までは分からない。
粘着糸。吸着。振動。
一見地味で変な能力も、試して、失敗して、理解すれば使い道は増えていく。
そして最大の問題は、セインが困っている人を放っておけないことだった。
勇者を追いかけているはずなのに、迷子探し、荷物運び、祭り、変な魔物退治――気づけば寄り道ばかり。
けれど、その遠回りの中で仲間が増え、能力を理解し、旅の道具が揃い、少しずつ本当に“勇者らしい人間”になっていく。
設定は真面目に。物語は遊ぶ。
王道RPGのような世界で、自称勇者が目の前の困り事を拾いまくり、《簒奪》した変な能力を理解して使い倒しながら、本物の勇者を追いかけるギャグ寄りファンタジー。