あらすじ
「あなたのような方とは、釣り合いませんわ」
七歳の娘が、震える声で人を傷つける台詞を練習していた。
その朝、前世の記憶を取り戻した侯爵夫人ローゼリアは気づく。ここは乙女ゲームの世界。娘のリディアは、将来断罪される悪役令嬢。そして自分は、その娘を冷たく育て、最後には見捨てる継母だった。
けれど、目の前の娘は教育係の顔色を窺い、叱られないよう必死に言葉を覚えている。
今まで任せきりにしていたのは、私も同じだ。
「その続きを言う必要はありません」
娘の最初の茶会を止めたローゼリア。教育係の帳面には、リディアが口にする悪口と、それを聞いたヒロインの微笑みまで書かれていた。
誰が、子どもたちにこんな役を決めたのか。
ひとまず娘を連れて領地へ。泥だらけの薬草園で遊び、失敗したクッキーを一緒に食べる。好きなものさえ答えられなかった娘が、少しずつ自分から手を伸ばすようになる。
ところが今度は、聖女になるはずの少女まで助けを求めてきて――。
前世は舞台監督。子どもへ台詞を仕込んだ者も、裏で指示を出した者も、見過ごすつもりはない。
娘と帰る家を守るため、継母は王宮にまで続く筋書きを追い始める。