あらすじ
宿屋兼酒場の女主人エルナは、ろくでなしの夫に代わり、十年間ひとりで店を切り盛りしてきた。その苦労は、町の誰もが知るところ。
そんなある日、夫が愛人を連れて帰ってくる。
「子どもができたから別れてくれ」
エルナはそれを聞いて取り乱す――こともなく。
それよりも十年間待ち構えていた男が宿屋に来たことを知ったエルナは震え立った。
その男こそは十年前、国の禁術を持ち出して出奔した闇の魔道士。
そしてエルナは、その男から禁術を取り戻すため、この町で宿屋の女主人に扮していた最強の女エージェントであった。
禁術を発動し《闇の竜》を呼び起こす魔道士。
その勝負の行方は――。
……あ、離縁届? あとでサインするから、ちょっと待ってて。