あらすじ
座敷童子には、様々な伝承がある。
家の奥に住み、幸運をもたらす子。
いたずら好きで、家人に笑い声を届ける子。
そして、土間や物置など、家の片隅にいる子。
これは、そんな座敷童子の一人――ある小さな男の子の物語。
病に倒れた少年は、ある日、熱の消えた身体で目を覚ます。
母にも、兄にも、妹にも声が届かない。
やがて少年は家の土間へと辿り着き、そこで三匹の豚と出会う。
泥の中を走り、雨の中で遊び、少年はそこで小さな居場所を見つける。
けれど、家の中には自分とは違う座敷童子がいた。
美しい着物を着て、畳の部屋に座り、供えられた飯を食べる少女。
「どうして僕は、あの子みたいに家の中にいないんだろう?」
その答えを、少年は知らない。
ただ一つ分かっているのは...
自分は、家の一番低い場所にいる座敷童子だということ。
これは、伝承に残らなかった、一人の座敷童子の物語。