あらすじ
座敷童子には、様々な姿が語られている。
家の奥に住み、幸運をもたらす子。
家の中を走り回り、いたずらをする子。
そして――土間や家の片隅に住む子。
これは、そんな「一番低い場所」にいる座敷童子の物語。
六歳の少年は、三人の兄弟とともに高熱に苦しんでいた。
そして、目を覚ましたとき。
熱は消えていた。
けれど、母には声が届かない。
兄にも、妹にも触れられない。
やがて少年は家の土間へと辿り着き、そこで三匹の豚と友達になる。
泥の中を走り、雨の中で遊ぶ。
それは、少年にとって小さな幸せだった。
けれど家の中には、自分とは違う座敷童子がいる。
美しい着物を着て、畳の上で暮らし、供えられた飯を食べる少女。
「どうして僕は、あの子みたいに家の中にいないんだろう?」
少年には、その理由が分からない。
そしてある日、彼は人間の子供たちにこう言われる。
「あの子に近づいちゃいけない。悪いことが起こるから」
これは、伝承には残らなかった。
一人の座敷童子の物語。