あらすじ
水泳教室のインストラクターとして働きながらも、自身の指導中に教え子の幼犬を溺死させてしまったビーグルの大輔。絶望と自責の念から自暴自棄になっていた彼のもとへ、元巡視船長の叔父・源蔵が現れ、厳しい叱咤と共に海嶺保安大学校の受験を促す。
倍率二十倍の狭き門に一度は散るも、辞退者の発生により奇跡の補欠繰り上げ合格を果たした大輔。だが呉の校舎で待ち受けていたのは、体格も筋力も圧倒的な大型犬のエリート同期たちからの冷たい視線だった。同じく小柄なビーグルである相棒・俊平とバディを組まされた大輔は、周囲が花形コースを選ぶ中、命懸けの現場である「潜水士」、そして最高峰たる「羽田特殊救難隊」への配属を希望する。
かつてバディを喪い、潜水病で潜れなくなった鬼教官・長谷川による苛烈極まる選抜訓練。重圧と体格差の壁に泥水を啜りながらも、二匹は互いの背中を預け合い、大型犬たちをも唸らせる執念で生き残っていく。やがて実習中に発生した広島沖の転覆事故で、大輔はライフジャケットすら持たぬ溺者たちを前に、過去のトラウマを乗り越えて極限の荒波へと飛び込んでいく――。小さな体で巨大な海に挑む、熱き潜水士たちの命の救難劇。