あらすじ
【東西の大国に挟まれた『軍事緩衝地』──雪深き秘境の集落ウシュグリ。】
そこで生きる粗野で口の悪い衛兵の少年アルスは、生まれも家もバラバラだが、戦場で拾い集めてくれた親父やきょうだいたちと、本物以上の固い絆で結ばれ、幸せに暮らしていた。
いつか一流の戦士になって世界を旅したい。そんな夢を家族のために諦め、深夜に泥臭い特訓を重ねる毎日。
だが、その温かい日常は、理不尽な大国の都合によって一瞬ですり潰される。
利権に群がる多国籍の大軍勢。手下の怪物を従えた狂った魔術師。そして、情報を敵に売り渡した強欲な身内の商人。
集落は焼き払われ、最愛の家族は首筋に刃を突きつけられて膝を突かされた。
アルス自身も胸を撃ち抜かれ、集落の果てにある暗黒の奈落──『邪神の封印地』へとハメ落とされてしまう。
大穴の底、苔むした遺跡の廃墟で死にゆくアルスの前に現れたのは、足が2本生えた、優しく不気味な敬語を話す『キノコの邪神』だった。
『私と契約を結びませんか? 私の目標である完全復活を手伝ってくださるのなら、ご家族は今すぐ助けて差し上げましょう』
一流の戦士を目指していたアルスは、おぞましいバケモノの力を振るうことに激しい嫌悪と罪悪感を覚える。だが、家族を救うため、プライドを捨てて泥を啜る【覚悟】を決めた。
手に入れたのは、触れたものを即座に腐食させ、吸い込んだ者を極彩色のキノコの苗床に変える最悪の菌の力。
だが、その能力には絶対的なルールがあった──。
魔法のような綺麗なチートは一切なし。黒い菌糸や胞子が『物理的に届く範囲』でしか、力は1ミリも及ばない。
「よぉ外道ども。家族を傷つけたんだ……地べたを這いずり回るほどの地獄を見せてやる」
自傷爆破、エネルギー逆流、生理現象のハッキング。
アルスは脳内の丁寧でクレイジーな邪神と対話しながら、大嫌いな力を100%出し出し惜しみなく使い、クレイジーな物理戦術で目の前の大軍勢を蹂躙していく!
そして、アルスの生々しい異形化を見た家族たちは、怯むどころかその男気に涙し、足を引っ張り合うストレス皆無の【鉄壁のチームワーク】で世界に反撃を開始する。
大国の思惑も、宗教の偏見も、菌の射程ですべて腐らせろ。
手段を選ばない不敵なヤンキーダークヒーローの、全組織まとめてざまぁするガチンコ知略無双譚、ここに開幕!!