あらすじ
『篠宮澪と目が合うと、大事なものをひとつ失くす』
匿名掲示板に書き込まれた、たった一行の噂。それから二か月、教室の誰もわたしと目を合わせなくなった。そして本当に、わたしと目が合った人の物が、消え始めた。
この街では、噂が本当になる。
大勢が同じ形で怖がったとき、空気に漂う形のない"がらんどう"がその想像を鋳型にして固まり、怪異になる。だから怪異は、噂の文面の通りにしか動けない。それが檻であり、急所だ。
時計屋の二階に住む調停者・常盤湊。見た目は青年、自称四十七歳。
「怪異は殴っても消えない。書き換えるのは、文面だ」
呪われた当事者から、調停者の助手へ。噂をほどき、怪異を"供養"する、少女と年齢不詳の男の現代怪異譚。