あらすじ

春の終わり、聖域の扉がひらく。 世話役である私は、朝ごとに彼女たちの指先とまぶたの動きを記し続ける。 生まれたばかりの赤子が数日のうちに少女の姿へ固定されること。言葉を持たぬこと。老いぬこと。それはもう誰もが知っている。それでも記録は絶やされない。なぜ彼女たちの機嫌が土地の実りを左右するのか、まだ誰も知らないからだ。 ある日、最も幼い一人が水盤の蔓へふれた。その日から聖域の草は刈っても青さを失わず、村の麦は異常なほど重く頭を垂れた。 人々はひざまずき、司祭は祈る。だが、私はただ冷酷な「法則」を紙に書き留める。 これは、季節の歯車を狂わせる「器」と、それを見つめ続けた男の、美しくも不気味な観測記録。

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カクヨム
カクヨム2026/10/05
  • 現在の作品枯れぬ庭の観察手稿