あらすじ
飲酒運転で母子を死なせ逃亡した男。逮捕され服役する彼は、深い罪悪感から自死を望んでいた。
面会に通う「私」は彼を励まし続けるが、やがて異様な光景を目撃する。
男の背中には不自然に折れ曲がった母子の怨霊が蠢き、その背後には病死した父親の凄惨な幽鬼が薄笑いを浮かべていたのだ。
一家の怨念は、男が自殺で楽になることすら拒み、生きたまま現世で永劫の苦痛を与えることを望んでいた。
「私」は恐怖のあまり、父親が死に際に男を許したという偽りの「許しの御守り」を彼に手渡してしまう。
男は許されたと信じ涙を流すが、それこそが死者たちの真の罠だった。
希望を抱いて踏み出した男の背後で、呪詛の環は静かに完成していたのである。